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ただ手のひらに収まるような
ばらばらとした小さな世界。

大事な気持ちも苦しみも、
幾多の笑う月の下で
塵のように意味なく舞った。

空の頭を砂糖に漬けて
光が微かに歌を歌う。

どうせ全ては誰かの娯楽。


この世はきっと、

見えない誰かの暇潰し。

——たしかあれは
時間を持て余した
林檎の神様と
お月様が
昼と夜を入れ替えて
遊んでいた頃、

空から降ってきた

金平糖が
こつんこつんと
音を立てて、

お月様の
大事にしていた
大きな鏡に亀裂を
入れたかと思えば、

林檎の神様が
小さく

くしゃみを
したのを合図に

粉々に

割れて

しまいました

©2023  Spin Mayumura

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