top of page
© Copyright

ただ手のひらに収まるような
ばらばらとした小さな世界

大事な気持ちも苦しみも、
幾多の笑う月の下で
塵のように意味なく舞った

空の頭を砂糖に漬けて
光が微かに歌を歌う

どうせ全ては誰かの娯楽


この世はきっと、

見えない誰かの暇潰し

——たしかあれは
時間を持て余した
林檎の神様と
お月様が
昼と夜を入れ替えて
遊んでいた頃、

空から降ってきた

金平糖が
こつんこつんと
音を立てて、

お月様の
大事にしていた
大きな鏡に亀裂を
入れたかと思えば、

林檎の神様が
小さく

くしゃみを
したのを合図に

粉々に

割れて

しまいました

林檎の神様が大慌てで、割れた鏡の破片のうちの13枚をパズルのように繋ぎ合わせるのを

お月様はやれやれと笑いながら見ていましたが、

その破片の1つから、光を宿す木が生えているのに気が付きました

カレイドツリー

——この世に存在しない
ものの象徴

その木は
たちまち14個の小さな月を呼び寄せ、

ひとつは

カレイドツリーの上に、

残りは木を取り囲む13個の破片にひとつずつ
分け与え、

©2023  Spin Mayumura

bottom of page